♡祐雫の初恋♡

 慶志朗は、祐雫の手を引いて、庭園の奥へと進む。

 祐雫は、頬を染めて、慶志朗の腕へこころを預けた。


 石畳が途切れると幾何学模様が施された石庭が広がっていた。


「ぼくの祖父の屋敷です。

 喉が渇きましたから、

 広縁で冷たいものでもいただきましょう」

 慶志朗は、勝手知ったる我が屋敷のように、

 祐雫の手を引いて、石庭を横切っていく。


「突然によろしいのでしょうか」

 祐雫が躊躇しているにもかかわらず、

 慶志朗は、石庭を突き進んで、広縁へと祐雫を伴った。


 祐雫は、石庭の模様に足跡が付くのを気にして、

 爪先立って慶志朗の足跡の上を歩いた。


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