♡祐雫の初恋♡

 慶志朗は、巷の噂とは正反対で、

 可憐な雰囲気を持ち合わせた祐雫の瞳の中に、

 聡明さを認めていた。



(まさに深窓の令嬢というに相応しい……)




「また、明日もいらっしゃるとよろしゅうございますね。

 可憐でありながら、

 光り輝く華やぎをお持ちのお嬢さまでございます。

 詩乃は、一目で好きになりました」


 詩乃は、ご機嫌な慶志朗の顔を意味有り気に覗き込む。


 
 詩乃は、夏のひと月の間を幼い頃から慶志朗と過ごすにつけ、

 僅かな表情からでも、

 慶志朗の気持ちが手に取るように分かるのだった。






< 44 / 201 >

この作品をシェア

pagetop