♡祐雫の初恋♡
「詩乃さんが気に入ったのに残念ですが、
明日帰るそうです」
慶志朗は、これ以上詩乃から乗せられないように、
無表情で答えた。
「まぁ、さようでございますか。
坊ちゃま、残念でございますね」
詩乃は、「残念」を強調して発音する。
「また森が静かになるだけのことです。
それから、詩乃さん、
用事を思い出したので、
ぼくも明後日には屋敷に帰ります」
慶志朗は、祐雫のいない避暑地にいても、
興醒めした気分になるだけだと感じて溜息を吐いた。