♡祐雫の初恋♡

「優祐くん、祐雫さん、こんにちは。

 祐雫さんは、凛々しいのですね。


 良家のお嬢さまの場合は、

 兄上さまの意見に従うものですよ」


 後ろで、男性の声がする。



 失礼な方・・・と

 振り向いた祐雫の瞳へ、慶志朗の笑顔が飛び込んできた。



「嵩愿さま、こんにちは」


 優祐は、咄嗟に挨拶を返しつつ、

 それほど親しいわけではない慶志朗の突然の馴れ馴れしさに困惑する。



 祐雫は、全く予期していなかった慶志朗との嬉しい再会が

『凛々しい』

 と評されて、その言葉が頭の中でぐるぐると渦巻いていた。



「こんにちは、嵩愿さま。

 先日はどうもありがとうございました」


 祐雫は、不意の再会に驚いて、ようやく挨拶を返しながら、

 優祐の後ろへ一歩下がる。


 優祐は、祐雫と慶志朗が知り合いだったことに驚きつつも、

 突然の祐雫の大人しい態度に違和感を覚える。


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