♡祐雫の初恋♡

「ありがとうございます。

 父に伺いませんとはっきりとしたお返事はできかねますが、

 いただいてもよろしゅうございますか」


 差し出された封筒を受け取るために

 祐雫は、優祐の横に並び立つ。



「どうぞ。凛々しいお嬢さまにぴったりの音楽会ですので、

 優祐くんと是非いらしてください。

 それでは」


 慶志朗は、並んだ優祐と祐雫を見て、

(本当によく似ているものだ)

 と感心する。



「ありがとうございます、嵩愿さま」

 優祐は、颯爽(さっそう)とした振る舞いの慶志朗へ

 羨望のまなざしで一礼する。


「ありがとうございます。御機嫌よう」

 祐雫は、青い封筒を胸に抱くと、

 頬を染めて、夢見心地になる。



 慶志朗は、優祐と祐雫に会釈して、人混みの中へ姿を消した。

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