♡祐雫の初恋♡

「将来の夢は、社長になることですか」

 慶志朗は、率直に質問する。


「はい……いいえ、あの……」


 祐雫は、慶志朗の手に包まれて、

 素直に本心を吐露していたことに気がつくと、慶志朗から手を離した。

 いつもと違う慶志朗に乗せられていた。



「可愛いだけの女性ではないと思っていましたが、

 世間の評判もまんざら違ってはいないようですね」

 慶志朗は、祐雫を真っ直ぐに見つめる。


「あの……

 以前は、社長になりとうございました。

 優祐よりも成績の良い私が社長に相応しいと思ってございました。


 でも、私は、自身のことだけを考えておりましたが、

 優祐は、広い世界観で様々なことを捉えておりまして、

 敵わないことがわかりました。


 それに父上さまは、世襲制を廃されて、

 逸材を後継者にともお考えのようでございます。


 最近では、お勉強すると新たな事が発見できまして、

 それだけで、とても嬉しゅうございますの」

 祐雫は、慶志朗へ祐雫らしい祐雫を知ってほしいと願い、

 考えを正直に話す。


「ぼくも祐雫さんと話していると

 新たな事が発見できて楽しいですよ。


 先程から、あの……ばかり呟いていますが、

 ぼくの前では普段の祐雫さんそのままでいてください。

 取り繕うことなどありませんよ」


 慶志朗は、聡明でありながら、

 可憐さを併せ持っている祐雫を理解した。

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