奏でる場所~SecretMelody~
ひときわ大きな声が響いた。



入り口を見ると、汗だくの拓斗が立っている。



…拓斗…。



「坂下…。」



「これは俺の問題だ。――宙のためにありがとな、米原。」



拓斗は奏の隣に行き、立ち止まると、そう言って奏を下がらした。



「キャーーッ!拓斗様ぁー♡♡私を守ってくれたんですかぁ?」



…どうやったら、そういう発想になるねん。



「いや……何を感違いしているのかしらないけど、まぎれもなく俺の彼女は宙だ。俺が先に宙を好きになって、俺から告白をした。宙は別に色気を使ってねー。俺が勝手に惚れたんだ。何か文句あんのかよ。」



拓斗は初めて見るような顔で、光山をにらむ。



もともとクールな顔の拓斗はにらむと超怖い。



睨まれた、さすがの光山もたじたじだ。



「お前、今度俺の女に手だしたらぶっ殺すから。」



「は…はい…。」



…拓斗、怖ぇーよ…。



「他の奴もな。」



拓斗は言い残し練習に戻って行った。



そしてその場に残された光山達に向かって奏が口を開く。



「あんたら…これでやっと分かったか…?
今度、宙に絶対に謝りに行けよな?
もちろん、後ろにいるお前らも。
病院おしえるから。
それぐらい、出来るだろ。
だから、この場を0として1からスタートしろ。
な?大丈夫。
いくらでも やり直せるチャンスはあるんだから。
このまま何もせずその場で立ち止まっていたら、お前達は一生、“後悔”と言う言葉を背負い続ける事になるだろうから。」



「…分かったわよ…!」



光山は恥ずかしそうに返事をして、自分の部屋の方へ帰って行った。



同時に野次馬達もざわつきながら動きだし、大広間は2人きりになった。



「はぁ…。これで少しは反省してくれるといいけど…。」



「そうやな…っ。奏カッコよかったで。」



俺は奏の頭をポンポンっとなでる。



「…///」



…なんや?



奏顔真っ赤や。



熱でもあるんか?



「ぁ…あ、陽輝…!明日の予定は??」



「そやそや!何時にする?」



拓斗の試合をばっちりムービーで撮って宙に見せないとなっ!!
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