奏でる場所~SecretMelody~
~拓斗side~



――ピーーッ…



キックオフが始まり、俺のクラスメイトが先にボールをとる。



…ってかあんな奴クラスにいたっけ?



顔をジーッと見ていたらアイコンタクトをとっているのかと勘違いされ、俺の元へとパスが来た。



えー…まじかよ…。



俺は“体育だしま、いっか”と思い軽くボールを蹴った。



「キャーーッ。拓斗様頑張ってぇー♪」



…なんで女子って最後に母音を伸ばすのだろうか。



いつも不思議で仕方がない。



「拓斗!よそ見してたらあかんで!!笑」



「え…?」



後ろからピョイっと足を出し俺の足からボールがなくなる。



まじかよ…!



俺は急いで後を追いかけた。



こいつサッカー出来るのか?



やたら蹴りは上手いな…。



よし、この体制なら…



「…すきあり。」



横からボールをとろうした瞬間、陽輝の口角がニッとあがった。



…笑顔だと?



俺が足を出した所にボールはもう無くなっており、陽輝が後ろ足でボールを宙(ちゅう)に蹴り上げた所だった。



「…!陽輝お前ヒールリフト出来るのか!?」



しかもだ。



あんなに速く走っていたのに一瞬走りを止め、ボールを後ろにしただと!?



「…え?普通じゃないん?」



「いや…かなり練習しねーと…って、うわッ!!」



陽輝が急に走るのをやめた。



「どーした?」



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