きみに会える場所~空の上ホテル~
くるっと回り込むようにしてフロントのカウンターに近づいていく。

レイは下を向いていて気づいていない。書類か何かを読んでいるようだ。

驚かせたくなくて、私はしばらくそのまま立っていた。

・・・・・・。

・・・・・・。

ダメだ、全然気づかない。何か自然に気づいてもらえるような動作はないかなあ。



・・・・・・。

・・・・・・。

ダメだ。考えようと思っても、目が自然にレイに向いちゃって、ちゃんと考えられない。

レイは時折、唇に指を添える。耳の上の髪にさわる。その手を頭の後ろに持っていく。大きな手。でも指はすらりと伸びている。

「美緒ちゃん」

後ろから肩をつつかれた。びくう、とした。レイが顔を上げた。




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