ハッピーエンドの描き方

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「痛いっ!!」


私の周りにいた数名が、クスクスと笑っているのに気が付き、顔から火が出そうになった。

当然のことながら、私がいるのはお城などではない。

また、前に立って話をしているのは牧師ではなく、王子でもない。

ここは大学の講堂。

六百人収容の円形講堂で、教壇に立って話すのは、白髪頭の教授だ。

昼食後、すぐの講義。

アメリカ研究という、私には到底理解できない領域の講義を受けている途中、教授の話について行けなくなり、ついにうたた寝をしたらしい。

前日に夢の国と謳っているあるテーマパークに行ったせいか、変な夢を見た。

変、というか、絶対にありえない夢。

あと少しで、イケメン王子にキスしてもらえるところだったのに。

しかし、目が覚めてしまった今では、王子の顔を思い出すことすら難しかった。

一気に現実に引き戻された私は、思い切り机に打ち付けた頭を摩る。

授業終了の鐘が鳴り、周りが騒がしくなった。


「それでは、今日の講義はここまでにします。 

次回までに、配布した資料に目を通し、アメリカ研究の定義とは何かというテーマのもと、論文を用意しておくように」


しまった、またやってしまった。


論文提出期限前最後の授業だったというのに、また寝過ごしてしまった。

手元には、一応広げておいたノートがあるのだが、もはや解読不能なミミズのような文字が書きなぐられているだけだった。

寝ぼけ眼で書いた字というのは、読めないし、記憶にもない。

万事休すだ。
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