籠の中
 僕は席に着くなり、彼女にメニューを差し出した。三角巾が頭に身につけ、年相応のエプロンを装着したお婆さんが一人で切り盛りしているらしく、店内には僕らだけしか客はいなく、僕らだけの声が響いた。静かに流れるクラシック音楽が心を落ち着かせた。壁にはレオナルド・ダヴィンチ『最後の晩餐』の壁画が飾られていた。レプリカであろうがその絵には威圧的な特殊な何かがそこには存在していた。
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