籠の中
「どうやら情熱というものが消え失せたようなんだ」
「君らしくないな。順風満帆の人生を送ってるように見えたが」
「客観的、主観的の差だよ」
 通りかかった店員にビールのおかわりを頼んだ。
 店員が厨房の方に去るのを見計らって、
「簡潔でわかりやすい」
 友人がおしぼりでテーブルを拭きながら言った。そうすることで身辺が綺麗になるかというように。彼自身が悩んでいるからかそれ以上は僕のことを聴いてこなかった。
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