籠の中
 おもむろに彼女は立ち上がり店をでる準備をした。
 僕も慌てて伝票を取り彼女の後を追う。カウンターにいたお婆ちゃんも豆を挽く手を止めレジの方に向った。僕は代金を支払い、お釣りを受け取り、財布に小銭をしまった。彼女は既に店を出ていた。喫茶店の路地を駅方向に向う途中にホテルがある。彼女はそのホテルの前にいた。
 ホテル『パラダイス』
 看板にはそう印字されていた。
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