彼女の愛すべきドビュッシー
「なんていう曲?」

「雨の庭。」

「雨か。」

「あたしはドビュッシーオタクなの。」

「ドビュッシー。」

「そお。

 月の光とかが有名かな。」

「ごめん、

 まだ勉強不足で。」

「いいんだよ。

 勉強なんかしなくて。

 音楽だもん。

 ていうと、

 先生に怒られるけど。

 あたしなりの哲学。

 ドビュッシーは、

 あたしにこうして、

 今弾かれてるなんて思わなかっただろうし、

 だから、

 感じたままに弾いてる。」
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