彼女の愛すべきドビュッシー
そして、

彼女に

生まれて初めての、

キスをした。

火照った顔で彼女を見た。

頬を、ツーっと

落ちる涙が、

月の光に照らされた。

海に映る月の光のように、

きれいな涙だった。

僕は涙を親指で拭いた。

「泣くなよ。」

「うん。」

「僕もさ、



 会いたかった。」

たくさんの星や、

月が見ているのなんか、

僕は気にしなかった。

彼女を、

会えなかった分、

強く抱きしめた。

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