あの子

もういい





「ハァハァ……」


息ができない。

もう二年近くボールに触ってなかったから、思うように体が動かない。


「もうバテたの?」



俺より長く運動していないのにひよりは、ボールを片手に余裕の表情だった。


「うっせ…てか、なんで俺より…ハァ

 早くバスケ止め…ハァはずなのに…ハァ」

「うわ、発情したおっさんみたい。気持ち悪」



ひで、こいつ。


…………………。



「お前さ、それ考えて言ってんの?」


ひよりが聞き返す前に、俺は次の行動を行った。


どさっ――――


ボールが不規則に跳ね、転がってどこかへ行った。

身動きのできないひより。

だって、俺が上に乗ってるし。


「そら発情もするわ。好きな奴とバスケなんかしたら。

 うかれる」










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