澄んだ空の下で
「俺が先に登って引っ張りあげっから」
そう言った恭は瞬きする暇もないくらいの早さで、腕の筋力だけでヒョイっとレンガに登った。
…え、凄い。
「…あたし、どうしたらいい?」
見上げる恭は屈んであたしに手を差し伸べる。
胸元まで開かれた制服のシャツからチラチラと見える小麦色の肌に一瞬目を奪われそうになり慌てて視線を恭の手元に向けた。
「掴まれよ。引っ張るから」
「いや、でも…あたし重いし」
「大丈夫。…ほら」
「う、うん」
差し出されている手にあたしの手を絡ませると、
「いくぞ」
恭はグイッと力一杯にあたしを引っ張り、その恭の力に任せ一番上のレンガに手をつき力を入れた。
「ありがと。もう大丈夫そう」
「おう」
少し息を切らしたあたしはレンガの上に立ち、乱れたスカートを整える。
それにしても恭の力に驚いてしまった。
こんなあたしを引っ張りあげるなんて。
どんな力してんのよ…