澄んだ空の下で
「そうなんですか…」
「最近、みんな来てくれなくてね…」
「お見まいに…ですか?」
「ううん。窓を開けに」
「窓、ですか…」
「そう。でも皆忙しいみたいだから仕方ないか。そうか呆れられちゃったかな」
「……」
苦笑いする千沙さんは、絵に描いた様に色白でとても綺麗な人だった。
まだあたしの名前も名乗ってないのに、千沙さんはそんなの関係ないように話を進めてた。
そして優しい笑みに変えてもう一度窓に視線を移す。
「凄いよねー、なんであんなにシャボン玉って綺麗んだろうね」
フワフワと風に揺られて窓から入ってくるシャボン玉に千沙さんは手の平を差し出す。
そしてその上でパチンと消えた瞬間、さっきの笑みなんてどこにもなくて千沙さんは小さく口を開いた。
「いつかは誰か来ると思ってた。あたしを責めにくる人が来ると思ってた」
「…え?」
千沙さんは悲しそうな笑みであたしを見て、すぐに視線を窓に向ける。
「話は何?蒼斗かな…それとも恭かな?」
そう言葉を耳にした瞬間、ドクンと心臓が波打った。