澄んだ空の下で

何の為にあたしを待っていたんだろうとか、さっきの事に何かを言うつもりなんだろうか、とかそんな事をずっと頭の中で考えてたのに。


…なのに。


恭は暫くの間、何も話さなかった。

一言も。


「ねぇ、何か話してよ」


居ても経っても居られなくなったあたしは、恭に声を掛ける。

なのに。


「…なんで?」


なんて、そんな言葉を返してくる。

訳分かんない。


「なんでって、あたし待ってたんでしょ?何か言いたい事あったから待ってたんじゃないの?」

「別にそんなんじゃねーけど」

「何それ…」

「ただ、こーやって空を見上げんのも悪くねーな、と思って」

「は?」

「暗くなったらここじゃ見えない星が、丘に行ったら見えんの」

「……」

「それって凄くね?」

「……」

「周りが真っ暗になると、見えるものが見える。少しでも邪魔な明かりがあると狂わせんだよ」

「…どうしたの?急に…」


何故だか、悲しそうにその言葉が聞こえてしまった。

それって、どー言う意味?

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