澄んだ空の下で

「お袋は別れたかったらしい。だけど親父は会社に影響を及ぶ事を恐れ、離婚は望まなかった。その分、お袋には何不住させないと言った条件で」

「なに、それ…」

「俺が産まれたら親父は俺をひきとった。産んでも居ないお袋を母親として」

「……」

「親父はお袋が事故にあって、せいぜいいい気分だったんじゃねーの？」

「そんなっ…」

「じゃなきゃ、そんな簡単に再婚なんてしねーだろ」

「もしかして、恭の本当のお母さんって、」

「あぁ。お前が思ってる通り、再婚した女は俺の実の母親」

「…っ、」

「だからと言って、あの人を母親だとは思いたくもねーよ。育ててもいねーのに母親づらしやがって。あの人と親父が身勝手な行動から出来た俺からすりゃ、ふざけた話しにすぎない」

「……」


分かんなかった。

どう恭に接していいのかなんて分んなかった。


だからだったと思う。

何も出来ない歯がゆい差が、あたしの頬に涙が伝った。