澄んだ空の下で
「あの時もしも俺が二人の会話を聞かなかったらお袋は死んでなんかなかった。今でも生きてんだろーなって、思う」
「……」
「でも、亡くなった今、楽になったのかな。とも思う。一番辛かったのは俺よりお袋だったんだなって、あの日からずっとそう思う」
「……」
「マジめんどくせぇ…学校も何もかも」
「…恭?」
沈んだ恭の声があたしの胸に重くのしかかる。
「だからお前の気持ち分かんの。死にたいって言ってた気持、すげー分かる。居なくなれば楽になるもんな、悩まなくて済むもんな。こんな好都合ほかにはねーよ…」
「……」
「でも俺はこの嫌な世界で嫌でも生きてやる。死んだら終わり。何もかも終わっちまうんだよ。だから俺には死の選択なんてねーの。親父に復讐する為に…」
「復讐って、何考えてんの?恭…」
意味不明な恭の言葉に思わずあたしの足が進んでた。
ベンチで寝ころがっている恭の顔をそっと覗き込む。
目が合う訳でもなく、恭はボンヤリと空を見てた。