澄んだ空の下で

お母さんから優しい笑みが漏れる。


「縛られることが一番良くないって事、分かるから。ごめんね、あたしが言える立場じゃないし、あたしが言っても説得力なんて何もないけど」

「いえ、」

「でも、最近の恭はなんか違う気がするの。あなたかな？」

「……」


フフっと笑うお母さんに思わず視線を下げる。

あたしは別に何もしてない。

むしろ迷惑かけてるほう。


“今日の事は気にしないで”なんて言葉を最後に、あたしは軽く頭を下げ恭の所へ急いで向かう。


なんだか複雑な気分だった。

誰の見方とか、そんなんじゃないけど実のお母さんがいい人だと、そう思ってしまった。

実際の所なんて分んないけど。

恭からしたら最低かも知れないけど、あたしには優しい人だって思った。


あたしの母よりはずっと…


「…ごめんっ、」


退屈そうに背を向けてスマホに視線を落としている恭に声を掛ける。


「あった？」

「あ、うん…」


ぎこちなく返したあたしに恭は、ふーん…と言った感じで足を進めて行く。