澄んだ空の下で
「ごめん。…若菜とこれ以上の関係になるのは無理って言った事」
「…っ、」
「若菜とこれ以上の関係になった時、俺はお前を手放したくなくなる。もっとお前を求めた時、俺の傍から居なくなるその事を想像したら一緒に居れないと思ってお前を避けていた」
「……」
いつか千沙さんが語ってた。
愛した後に恭は見捨てられているって。
でも、あたしはそんなんじゃないよ?
「それとは別に…認めたくねぇけど俺はあの親父の息子。愛人作って、その子供が俺。実際、この世に俺の存在すらねーのにな」
「…っ、そんな事、言わないで」
「だからあの親父の血が繋がってるだけで不愉快で、いつかは俺もそーなんのかなって思った時、誰かを好きになんのも面倒くさくて、だったら適当に遊んでるほうがマシって、ずっとそう思ってた」
「…恭?恭は違うよ?だからそんな事いわないで?自分を殺さないで…」
「って、俺が違うって、そんな事、分かんねーじゃん」
「分かるよ、好きだから…恭の事好きだから分かるよ」
「好きって…なんなの、お前…」
「……」
そう言って、表情を崩してた恭の顔が一瞬だけ悲しい笑みに変わった。
「でも、そう思ってたのに若菜が現れてから俺の感情が言う事聞かなくなった」
「……」
「麗美さんの店に行った本当の理由…お前に、若菜に会いたかったから。電話しても出ない、あの屋上行っても来ないお前を待っていても仕方ないと思って…」
「……」
「でも俺が突き放してんだから、そうなるわなって思って」
「……」
淡々と話していく恭の口元をぼんやりと見てた。
「なんでお前が泣くの?」
不意に伝った涙の所為で視界が悪くなる。
伝った涙を恭が拭うと、更に涙が溢れて来る。
あたしじゃ頼りないかも知れない。
それと同時に自分の過去も頭を過って。
恭が誰かに取られたらって思うだけで苦しい。
でも、それでもいいって思った。
一緒に居られるのなら、それでもいいと思った。