澄んだ空の下で

「ちょっと、出会いたい人が居るんです」

「誰?」

「あそこに居る人です。あのカウンターに…」


そう言ったあたしに女の人は視線を向ける。

だけど、すぐに視線をあたしに向けたかと思うと、目付きを一瞬で変えた。


「つか、恭になんの用?」


…キョウ。

初めて知った彼の名前。


「聞きたい事があって…」

「って言うか、なんでアンタが恭に?」


やっぱ、こーゆー女って嫌い。

好きな男が居ると、他の女は寄せ付けないってやつ。

ほんと、馬鹿みたい。


結局はみんな同じじゃん。


「話が終わればすぐに帰るんで会わせてくれますか?」


丁寧に、丁寧に…

言わないと会わせてくれそうにない。


目の前に居るのに、それだけでもダメな訳?


ほんと、何様?


「用件聞くから言ってよ。恭さぁ、人と係わんの好きじゃないんだよねー!得に初対面だと機嫌悪くなっちゃうの」


だから、何?

子供じゃあるまい。


スマホの事聞くだけで、これですか。

ほんと、呆れる。
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