未熟色の君たち
「……ぅん……。忘れ物……したみたいで……」
逆に亜実は、由香里と視線をうまく合わせられずに言葉がしぼんでいった。
俯く亜実。
そこへ旬が来て、空気が重くなる。
由香里は、その重い空気を吹き飛ばすようにいっぱいの笑顔を二人に向けた。
「バイバーイ」
由香里は靴を履き替え、笑顔のまま大げさなほどに二人へ手を振る。
「芳成、行こ」
俺に言ったその顔も笑っていたけど、目は泣きそうに揺れていた。
少しだけ小走りに玄関を出る。
校門が近づくにつれ、その足取りはゆっくりになり肩は落ちていった。
小さい背中が、また一回り小さくなった気がした。