ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜

「お帰りになったよ」

 子爵を見送った後、ハワード氏はローズのいる部屋をそっとノックした。

 中から青ざめ、泣き腫らした目の貴婦人が姿を見せる。

「可哀相に……」

 我が娘を抱くように、氏は姪を抱き寄せ無言で背中をさすってやった。

 彼女の喉から鳴咽が漏れ、涙が堰を切ったように溢れ出す。そのまましばらく伯父の腕の中で、泣きじゃくっていた。


 オリビアはローズを着替えさせ、暖かい夕食を少しでもとらせようと苦心していた。

 本人は、ほとんど放心したように伯母に世話を焼かれるまま、ただ機械的に動くばかり。


「子爵様があれほど望んで下さっているんだから、素直にお嫁に行けばいいのにねぇ。この機会を逃せば、お日様が西からあがったって、子爵夫人になれるなんて、こんな素晴らしいことは、金輪際二度とないのに」
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