ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜
重い心を抱えて外に出ると、エヴァンはハワード家の石造りの建物を見あげた。
窓辺にローズの姿を探したが、どこにも見えなかった。
「まったく、残酷な恋人だな、君は……」
彼はそっと呟いた。
身を引き裂かれるような苦痛を感じながら、ゆっくりと待っていた馬車に乗り込んだ。
できることなら今すぐ取って返して、有無を言わさず彼女を連れ去ってしまいたかった。
今また離れて暮らすことに、耐えられるだろうか。
だが、今は他に方法がないのだ。
馬車が走り出し、規則正しいひずめの音がガス灯の点り始めた石畳の道に響く。
この音が彼女の胸に、自分の半分でもこたえてくれればと、強く願わずにいられなかった。