ウェスターフィールド子爵の憂鬱な聖夜
「け、結構ですよ! ミス・レスター。あなたにこんなことをさせては、わたしがミスター・キングスリーに叱られます!」
「黙っていればわからないでしょう。それにわたしがしなかったら、いったい誰がするんです? 見て、この埃の山!」
翌朝から早速行動を開始したローズに、牧師は慌てふためいて止めようとした。だが、それぐらいで引っ込む彼女ではない。
手始めに一日がかりで牧師館の大掃除をした。金髪をリボンで一つにまとめエプロンドレスを着けると、まるでメイドのような格好になった。
焦っている牧師に明るく笑いかけながら、居間から客室、廊下まできれいにモップをかけていく。
寒い中だったが、洗濯もした。敷物やテーブルクロス、リネン類を次々に洗って、まとめて裏庭に干した。
全部終わって振り返ると、牧師が完全にあきれ顔で立っていた。風にひるがえる洗濯物を、ローズは得意げに指さした。
「ねぇ、ちゃんときれいになったでしょう? この方が気持ちがいいですわ」
牧師はまいったなと言うように頭を振って、空になった洗濯桶を取りあげた。
「まったく、あなたにこんなことまでさせるなんてね」
ローズが笑いながら、中に入りましょう、と応え、牧師と一緒に館に入っていった。
二人の間には、いつしか暖かい連帯感が生まれていた。