僕の可愛いお姫様
外気の肌寒さに、少し手がかじかんでいた。
温める様にハァ、と手に息を吹きかけて、顔の前で擦り合わせる。

「寒いの?」

瑞穂の淡々とした声が、頭上から降ってくる。

「んー。少し。
夜はまだ冷えるねぇ。」

お婆ちゃんみたいな事を言うな、と自分で思いながら、息を吹きかけて、擦る、を繰り返す。

「ん。」

その顔の前に、不意に瑞穂の手が現れた。
その中には…。

「カイロ?」

「やる。」

「…この時季にカイロ持ってるなんて、珍しいね。」

クスクスと笑った私に、瑞穂は顔を背けた。
その顔はきっと、しかめっ面なんだろう。

「…寒いのは苦手だ。
いらないならいい。」

不貞腐れた様な口調でカイロをポケットにしまおうとする瑞穂から、慌ててカイロを奪って言った。

「いるいるっ!
へへ…あったかいねぇ。」

瑞穂は一瞬私を見たけれど直ぐに俯いて、その表情は分からない。
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