今ここにいる



こういうとこのソファーって異様に小せぇよな


触れそうで触れない彼女の肩


でも心臓の音は彼女にも聞こえちまうんじゃねぇかってくらいドキドキしてる


沈黙に堪えかねて彼女を見ようとしたら、同じタイミングで彼女も俺を見た



この場所でこの距離で


見つめ会ったらもう止まらない



軽く触れた唇



『…あの…』


『あ…ごめん、…嫌だった?』



って何聞いてんだよ、


嫌とか言われたら立ち直れねぇだろ


『…そうじゃなくて、…こんな所まで来ておいて…なんだけど…、誤解されたくない』



『誤解…?』


コクりと頷く彼女



『…ああ、彼氏にってこと…』




失恋にも似た気持ちを隠すように、床に置いてある彼女のバッグを手に取った



『…いいよ別に、俺は無理矢理とか、ないから、安心しろって。…出よう』



自分でもこんなことしてることが信じらんねぇ


彼氏がいたって俺には関係ないって


お互い今だけなんだからって


都合のいい言葉が何故か出てこない


差し出されたバッグを受け取ろうとしない彼女


『ほら早くしろって…。彼氏待ってんだろ』



『違うの…、誤解してほしくないの…あなたに』



『…っ…』


俺の胸に顔を埋めてくるのは、顔を見られたくないからなのか、それとも彼女の計算なのか


もうどっちだっていいや…


別の生き物みたいに高鳴る胸の鼓動に気付かれる前に彼女の唇を塞いだ



俺を見上げる彼女の瞳に


俺はどう写ってる?


でも誤解だけはしてほしくない


これは




"一時"じゃなくて"始まり"なんだ



・・・・・・・・・・・・・・・・・・〆

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