◇桜ものがたり◇
「休暇は、いつまででございますか」
祐里は、光祐さまの温かさを感じつつも、
再会した瞬間から、別れの辛さや淋しさを考えてしまう。
「祐里の誕生日の三日に都へ戻ることになりそうだよ。
入学式までには、まだ日があるのだけれど、
父上さまとご挨拶に伺う御邸(おやしき)が多くてね。
滞在は十日間だけれど、
祐里と一緒に過ごすと、都へ帰りたくなくなるね」
光祐さまは、自分が都の学校に通うように
祐里も都の女学校へ通っても良いのではないか……と、
祐里を都の別邸に呼んで、一緒に暮らしたいと叶わぬ夢を描いていた。
「十日間も、光祐さまとご一緒に過ごせますのは嬉しゅうございます」
川原の小さな草花が陽の光に輝き、光祐さまと祐里を優しく包み込む。
小鳥たちは可愛い音色で囀り、二人の仲を祝福していた。
光祐さまと祐里は、至福の世界に包まれていた。