彼のすべては、甘い砂糖菓子でできている
「心配なのよ……」
ベッドの中でポツリ呟くと、
この店のオーナー兼恋人は、腕枕をしたまま私の頭を優しくなでた。
「恋愛の形は人それぞれだからなぁ……」
そうは言いつつ、吐く紫煙に溜息を混ぜる。
あの子がバイトでこの店に来たのは高校生の時。
私は上京したてのバイト大学生で、
オーナーは独立したての頃だった。
不安や孤独に押しつぶされそうな時に出会った、
穏やかで、
優しくて、
甘い甘いふわふわの砂糖菓子みたいな男の子。
「結婚…しよっか」
「やっと言ったね」
うれしくて思わず抱き着くと、
少しばつの悪そうな彼に、また愛しさが込み上げた。
その感情とは異なるけれど確かに大切なあの子。
重なり合う体。
寄り添う心。
魂が歓喜するこの暖かさを、
ちゃんとマダムに与えてもらっているのだろうか?