密の味~言葉じゃ足りない~
「まずはリラックスした方がええな」
カメラを下ろし、私に噴水の縁に腰掛けるよう促す。
戸惑いながらも人1人分程のスペースを空けて、隣に座った。
「話でもしよか」
私を気遣い、岩月君は色々話してくれた。
大学の事。友達の事。地元の大阪の事。
あんまり楽しそうに話すから。
私も自然と顔が綻んだ。
「世莉ちゃんは彼氏とは長いん?」
唐突に。
彼氏の話を振られ、動揺する。
気恥ずかしくて、俯きながら答えた。