ポケットに婚約指輪

弱い心にはいくらでも甘い誘いの付け入る隙がある。
所詮私はこうなんだ。

付き合っていた時だって、そう信じて裏切られたくせに、こうしてまた淡い期待をするのは間違ってるって分かってるのに。


その時、もう一通メールが届く。


【夜分に失礼】


私の受信履歴に今までに一度もなかった名前が書かれている。
里中さんからのメールだ。


【明日の食事の件だけど。
好みは洋食・和食・中華のどれ?
どうしても苦手な食べ物ってある?】


この人は食事に誘うとき、いちいちそんなことまで気にするんだろうか。
営業さんだから色々気が回るのかな。


【私は何でも大丈夫です。
刈谷先輩は辛いモノが苦手なので、中華は遠慮していただけると助かります】


そんな返事を書くと、10分後くらいに返信が来る。

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