いつか君に届け
決意
葬儀の打ち合わせをしながらも親父に連絡を取り続けたがまったく繋がる事はなかった。何やってんだよ!クソ親父!俺は慌ただしい中仕事の連絡を入れながらお義母さんの葬儀をさせてもらった。

『悠!お母さんは龍と虎の入学式を楽しみにしていたでしょ?新しいスーツがお部屋にあったよ。このスーツも一緒に入れてあげようか。お母さんが楽しみにしていた入学式にスーツが着れるようにね』

『うん!僕が書いてあげたお母さんの絵も持たせてあげるよ。お母さんが寂しくないように』

『うん。そうだね』

『龍!虎!ママに渡してあげるのはどれ?入れてあげて』

『僕はこのおもちゃあげる!』

『僕は幼稚園で書いたパパの絵あげる!』

『うん。じゃあさようならしようね。ママはお空へいくんだよ。ちょっと遠いけどママはずっとお空からお前達を見てるよ』

『うん!バイバイ!ママ!』

『ママ!バイバイ!またね!』

お義母さん!俺はこの家は帰ってきます。二度と戻る事はないと思っていましたがお義母さんが残した3人の宝が心配でしょ?親父は戻ってきませんよ。すいません。その代わり俺が責任持ってあなたの宝を守ります。守らせて下さい。俺はお義母さんに迷惑と心配しかかけていませんでした。申し訳ありません。俺が3人を大人になるまでちゃんと育てますからどうか安心してください。

『悠之心!おいで!お母さんが空にのぼっていくよ!しっかり見てて。何も心配しなくていい!俺はお義母さんと今約束したからね。お前らをちゃんと大人になるまで育てるって。悠のお母さんが空からずっと見てるからお母さんに心配させないようにしような!』

『うん!慶兄!ありがとう!僕大丈夫!慶兄達がいるから!お母さん!バイバイ!空が青いね!慶兄!』

『うん!空はどこまでも繋がってるからお前達をいつだって見れるんだよ』

『龍!虎!お前らも空見てろよ!』

『慎二郎兄ちゃん!空おっきいね!』

『うん。龍!大きいな』

『僕青い空好き!』

『そうか。虎!青い空もきっとお前の事が好きだよ』

俺は悠之心を抱き、慎二郎が龍と虎を抱き俺達はお義母さんが煙となって青い空へと消えていくのを長い間眺めていた。いつ戻ってくるかわからねー親父なんか待っていられない。俺が守らなきゃ。壮ちゃん!俺はこいつらを育てていく事を決意しました。俺なんかにこいつらを育てられるのかまったく自信はありません。でも幼い弟達を放っておく事は出来ないからね。一生懸命育てます。壮ちゃんが俺を育ててくれたように。壮ちゃん!見てて下さい!俺はお義母さんに何の親孝行もしていないんだ。だからお義母さんの宝を守る事で少しばかりの親孝行をさせてもらいたいです。
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