月夜の翡翠と貴方【番外集】
その瞬間、スジュナの顔つきが変わった。
幼い少女は、子役の顔へ。
口元に描かれた弧は、自信に溢れていた。
「『森のおくの、ずーっとおく。ようせいたちがひらひら舞う森のおくから、わたしは来たの』」
手をうんと広げ、その様子を表す。
小さな体を目一杯に使って、スジュナは一生懸命に演じていた。
私も、スジュナに合わせられるよう、声を出す。
「『それは素敵。じゃあ、あなたのお名前は?』」
手を胸の前で組み、語りかけるように笑う。
「『レミール。わたしは、レミールっていうの』」
まるで本物の『レミール』のように、スジュナはスカートの裾をつまんでお辞儀をした。
可愛らしく、それでいて自然な動きに、思わず口を開けてしまう。
「ここで、いっこめは終わり」
そう言ってぱっと頭を上げたスジュナは、いつもと変わらない、幼い少女の表情をしていた。
ルトも、「すげー」と言いながら拍手を送っている。
スジュナは恥ずかしそうに「ありがとう」と言った。