月夜の翡翠と貴方【番外集】


「よかったわねえ、ロゼ!お姉ちゃんになるのよ!」

クランが、ロゼをからかうように言う。

ロゼは恥ずかしそうに「クラン姉さん!」と言うと、ぱっとスジュナと目があった。

スジュナの瞳は、期待に満ちていて。

ロゼはその目に眉を下げると、照れたように唇を尖らせた。


「…い、いいわよ。好きに呼びなさいよ」


スジュナは嬉しそうに笑って、「うん!ロゼお姉ちゃん!」と言った。

皆が、優しげにふたりを見つめる。

ルトとふたりで顔を見合わせ、笑った。


…和やかに、穏やかに。


皆が笑いながら、食事は進められたのだった。







『あの方達のこと、覚えているかい?』


父はそう言って、微笑んだ。

その手には、手紙があって。


私は一瞬考えたように首を傾げて、

その手紙を受け取った。


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