月夜の翡翠と貴方【番外集】
「ジェイドさんは、それでよろしくて?」
「はい」
ルトがそう言うなら。
特にこだわりのない私に、文句はない。
「では、私の私室へ行きましょう」
セルシアに連れられ、彼女の私室へ向かう。
その扉を開けると、可愛らしい家具の並べられた部屋が見えた。
…しかし、やはり貴族令嬢の部屋にしては、質素な印象がする。
再び数ヶ月前との変化を感じながら、私は鏡台の前の椅子に座った。
鏡に、私と私の後ろに立つセルシアが映る。
彼女は櫛で、丁寧に碧の髪を梳かし始めた。
「…綺麗な髪ですわね」
…とても大切そうに、彼女は私の髪に触れる。
懐かしい感覚がした。
女性にこんな風に、髪を触られるのは、久しぶりだから。
…母様。