月夜の翡翠と貴方【番外集】


…シン、と部屋が静まり返る。


セルシアが、呆然として「ロディー様…」と言った。


「……なにを、驚いた顔してる。嫌なら嫌と、はっきり言え」


その言葉に、セルシアの瞳に涙が浮かんだ。

…少し、言い過ぎでは…

そう口を挟もうとしたら、セルシアがガタンと席を立った。


「……いっ、嫌ではありません」


震える手のひらを、ぎゅっと握りしめて。

セルシアは、涙をこらえてそう言った。

ロディーが眉を寄せて、「無理はするな」と言う。

けれど、セルシアはぶんぶんと首を横に振った。

「…セルシア」

「無理などしていません!」

今にも零れ落ちそうなほど涙を溜めたセルシアに、ロディーが苦しそうに眉を寄せる。

…ああ、ハラハラする。

ちらりと隣を見ると、ルトは冷静な目をしてふたりを見ていた。


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