月夜の翡翠と貴方【番外集】
薄桃色のリボンが、さわさわと風に揺れる。
そのリボンを、窓の隙間にくくりつけた。
「ジェ、ジェイドさん、それ…!」
驚くネオに、しぃ、と唇に人差し指を当てる。
「…これで、私達がここにいるって、ルトにわかるでしょう?」
ネオとタツビが、複雑そうな顔をする。
…いいの。
ルトは、これで怒るような人じゃない。
宝物がたくさん増えていくのは、とても嬉しいけれど。
それでも何より、彼の笑顔をこの目に映すこと。
それが私にとって、いちばん大切なことだから。
「……少しの間、ルトを待ってみようか」
私がそう言うと、ネオとタツビは何も言わずに頷いた。
壁に寄りかかり、三人で床に座り込む。
しばらく会話もなく沈黙が流れていたが、やがてネオが口を開いた。
「……タツビ」
「…ん?」
折り曲げた膝をぎゅっと抱きしめ、ネオは俯いた。