副社長は溺愛御曹司
「らしいんだよね」という言い回しの無神経さに、じろりとにらみあげてやると、やっぱり気づいていたらしく。
仕方ないじゃん、とふてくされたように言うのに、息を整えるついでのため息が出た。
「もう、いいです」
「えっ」
うろたえたような声が降ってきて、誤解を与えたことに気がつく。
「もう、無理に好きって言ってくださらなくて、いいです」
再び、えっ、と愕然とした声が降る。
あれっ、うまく説明するのって、なかなか難しいな。
私は、少し、ちゃんと話す体勢をつくろうと、ヤマトさんの下から抜け出して、ひざかけにしていたブランケットで身体を隠した。
ゆとりのあるソファに、横座りするように脚を抱えると、ヤマトさんも、下だけ履いた状態で隣に座る。
「ここから先はもう、私の問題なので。自分でなんとかします」
「神谷の問題?」
背もたれに腕を預けて、私のほうを向いたヤマトさんが、怪訝そうな顔をする。
私はうなずいて、この間からずっと考えていたことを、説明しようとした。
「ヤマトさんの言葉を疑うわけじゃなく、単に、自分がそれに値するか、疑問なだけなんです」
「俺が好きって言ってるんだから、自信持てよ」
「………」
それで持てたら、苦労しません。
私はきっと、前のつきあいが、あんなふうにぐずぐずしたこともあって、どうにも女としての自分に疑いがある。
ヤマトさんの言うとおり、彼に言ってもらったんだから、自信を持ちたいとは、思うけれど。
そんなの、やっぱり、すぐには無理で。