副社長は溺愛御曹司
だから、決めたのだ。



「なので、私が、好きでいればいいかと思って」



ヤマトさんが、ぽかんと見返してくる。

うーん、説明するのって、本当に難しい。



「私が一番、ヤマトさんを好きになれば、いいかと思って」



ヤマトさんの想いに、ふさわしい自分かどうかはわからなくても。

歴代の女の子の中で一番と言えるくらい、彼を好きになることは、できる気がする。


自分の価値には無理でも、気持ちになら、まだ自信を持ちやすいし。

それができれば、過去の女の子たちに、無駄に心を揺さぶられずにも済む。

そうしていたら、そのうち、ヤマトさんの想いを、100%受けとめられる日も、来るだろう。


なんて合理的。


そういうことで、どうでしょう、とヤマトさんの顔を見ると、彼はぽかんとしたまま、固まっていた。

あれっ…。



「伝わりませんでした?」



動いてよ、というつもりで、油断している唇にキスをすると、ぎょっとしたように彼が身を引く。

…それは、ちょっと、失礼じゃない?


我ながら不機嫌な目つきになっていたんだろう、ヤマトさんが慌てたように、違う違う、と手を振った。

そのまま、うーんと考えこむように少し宙を見つめて、ほおづえをつく。



「神谷は、俺が神谷のどこを好きか、わかんないんだよね?」

「そうですね」

「俺は、それが、わかんないよ」


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