副社長は溺愛御曹司
めったにない、運転手さんつきのドライブを楽しみながら、えっこれビルじゃないの? というくらい大きなクルーザーに乗り。

CEOと奥様にご挨拶をしつつ、主催者にも挨拶回りをし。


私は業務中だったので、ソフトドリンクばかり飲んでいたけれど、ヤマトさんはつきあいとして、そこそこお酒も飲み。

湾をぐるりと一周したクルーザーが再び着岸したところで、お開きとなった。


このあとは、陸地でまた二次会的な集まりがある予定だ。



「ううん、俺たちは、別」



クロークでヤマトさんのぶんも手荷物を受けとり、渡したところで、そう言われた。

別って。



「親父にも、キャンセルの許可はもらってるから」

「会社にお戻りになるんですか?」



もしかして杉さんとお話しに行くんだろうかと思いつつ訊いたら、なぜかヤマトさんは何も答えず、車を呼んだ。








パールホワイトのクロスに、ちらりときらめくテーブルウェア。

中央には、華奢で美しいシャンパンボトルが鎮座して。

そのネックには“Happy Birthday”と書かれたカードが、ビロードのリボンでとめられていた。



「ヤマトさん…」



ぽかんと、隣に立つヤマトさんを見あげると。

小学生のような得意げな笑みが、見返してきた。





「誕生日、おめでとう」




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