副社長は溺愛御曹司
どちらが先だったか、もう忘れたけど。

なんとなく、お互い、相手が自分を好きだなってわかっているような、そんな関係だった。


高校1年で同じクラスになって、2年で別れて、3年の時、また一緒の組になった。

最終的に言葉にしてくれたのは、祐也のほうで。

今でも覚えている、3年生の夏休みの補習の帰りに、ふいに祐也が言ったのだ。



つきあっちゃおうよ。








考えることが、増えてしまった。


何を飲み食いしたかも覚えていないような状態で、帰途についた。


祐也が、戻ってくるの?

さんざん、さんざんふらふらしたあとで、やっぱり私を選んでくれたの?


でもね、祐也。

私もう、疲れちゃったかもしれない。


もしも、また祐也と一緒にいることに決めたとしても。

私はきっと、いつかまたこの人は離れていくだろうって、もしかしたら今日は帰ってこないんじゃないかって。

永遠に、そう思い続ける気がするの。



じゃあなんで、さっきその場で、そう言ってこられなかったんだろう。

どうして私は、こう優柔不断なんだろう。


二度と会わないと言われて、おじけづいたんだろうか。

最初にそう言い出したのは、私なのに。



部屋に上がると、花が終わる前にドライフラワーにしておいたすずらんが見えて。

私はなんだか、自分の望みがなんなのか、さっぱりわからなくなってしまった。




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