花送り―宗久シリーズ番外―
高い高い屋上。


見上げると、空が近く感じる。









私、あの空の上に行けるかな?


力一杯飛べば、手が届くかな?






ここじゃないならどこでもいいの。








どこでもいい…………。











「う……あ……うわあぁぁぁ―――!!」









割れる様な頭痛が、私の身体を突き抜けていく。







「痛い…痛い痛い……!!」










止めて欲しかったの。


止めてと、叫びたかったの。




助けて…誰か助けてって……。







どうして私なの?

どうして私を痛め付けるの?


私は、ここに存在しちゃいけないの?




私は人間だよ?

あなた達と同じ、人間。

傷付けば痛いし、悲しければ泣く。




同じなのに……わからないの?









心が、喉が、頭が、張り裂けそうな程に焼け付く。






………業火だ。




現実はまるで、地獄の業火に焼かれている様だったから。


屋上から飛んで、たとえ地獄に堕ちたとしても、まだ地獄の方がマシなんじゃないかって………思ってしまったんだ……。

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