Hina

「うきゃあ」

女は妙な悲鳴を上げた。

そしてすごい力で俺を突き飛ばし、ベッドの上を四つん這いになって逃げようとした。

・・・・・・いかん、これでは犯罪になってしまう。

俺は目をつぶって、頭を振った。

ちょっと違った角度から攻めてみる事にした。

「分かったよ。分かった。ところで名前はなんていうの?」

「相沢妃菜」

「ヒナ?」

「お妃の妃に菜の花の菜って書くの」

おきさきのひねえ・・・・・・分かんねえや。

自慢じゃないけど漢字なんて、小学校レベルのしか書けないから、そんな事言われても頭に浮かばない。


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