Garnet~大好きの伝え方
階段の残り三段をジャンプした。

踊り場に着地しながら手すりを掴んでキュウッと方向転換、また階段を駆けおりていく。

彼に気持ちを伝えたい。その一直線な意思が、私の足をどんどん、どんどん急がせる。

ヨシがいる保健室は、一年棟を抜けた先の職員校舎だ。

学年棟の乗降口と反対側、それぞれの校舎を結ぶ渡り廊下を走り抜けて、一年校舎へ。

そしてまた一年校舎をすぐに抜けて渡り廊下を進めば、職員棟で――

「林原先輩っ!」

「?」

突然、呼び止められた。

林原っていう苗字は珍しくはないと思うけど、今のところに年間この学校で過ごしてきて、私しか聞いたことがない。

だから、私が呼ばれたと思った。

振り返ると、一年棟からひとり、男の子が走ってきた。

生まれ立ての子犬みたいに茶色いふわふわの髪に、男の子にしては色白な肌。

カッコいいよりも、かわいいって、思わず頭を撫でてあげたくなるような、彼。

その細い線で彼は剣道部だというのだから、驚いてしまう。

彼は――こないだ私がふった、北川、光一くんだった。
< 116 / 370 >

この作品をシェア

pagetop