Garnet~大好きの伝え方
「きついなー、ヨシってば。そんなこと聞いちゃう? デリカシーないなあー」

言ってみたけど、ヨシの表情は意地悪なくらい『無』だった。

その『無』を『有』に変えたくて、できるなら、もっと私のひとつひとつに大きく反応してほしくて――

自分でもバカだって思うくらい、甘えてみせる。

「私にはヨシだーけ。わかってるくせにぃ」

それなのに、だけどやっぱり、彼の表情は硬いままで、

「ふうん、そ」

がたん……と動き始めた市電の揺れみたく、ひどく、あっけなかった。
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