Garnet~大好きの伝え方
十五分くらいして、回覧板に目を通したヨシママが立ち上がった。

次のお宅に、回覧板を回しに行くそうだ。

もそもそとパンを食べていたヨシが、一緒に立ち上がる。

部屋に行くのかなと思って私も立ち上がると、

「なんだよ加奈、帰るんじゃないの」

平然と、そんなことを言ってくる。

なにがあったのかわかんないけど、今日のヨシは私のことを避けまくる。

あいさつも無視されたし、まだなんにもちゃんと喋れてない。

「ま、まだ帰んないよ」

めげずに答えたら答えたで、ヨシはまた溜め息。

どうしてさっきから、私には溜め息しか聞かせてくれないの。

そんなの訊きたくても訊けない。

もしも、もしもだよ。

ヨシの口からはっきりと、ウザイなんて言われたら、ショックが大きすぎる。

せっかく来たのに、こんな気持ちになるなんて思わなかった。

今日は来なければよかったかななんて、好きな人の前で思う。

好きな人に逢えたのに、同じ空間にいるのに、苦しくなるなんて。





――急に、つらくなった。



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