トールサイズ女子の恋【改稿】
 何度も唇を重ね合わせて小さなリップ音を出して唇が離れると、熱が籠った息をふぅっと吐き、手で頬を触ると凄く火照っていて熱い。

「もう、こんな時間か」
「何時ですか?」
「1時を過ぎてる」
「本当だ…」

 水瀬編集長は腕時計で時間を確認し、ほらっと腕時計を私に見せ、そんなに時間が経ってたんだ。

「こんな時間じゃ電車も無いし、このまま俺の部屋に泊まって?」
「水瀬編集長の部屋にですか?」

 いきなりの提案にどうしよう……、想いが通じたのは嬉しいけど、そんな直ぐに泊まるだなんて展開が早すぎるような。

「1人で帰るのは危ないし。というか、やっと想いが通じたから帰したくない」
「……」

 真剣な表情で訴えてくる水瀬編集長を前に、私は黙ってコクンと頷いた。

「片付けるから、待ってて」
「私も手伝いますよ、あっ…何か落としちゃった」
「あっ、それ…」

 水瀬編集長は椅子から立って机の上にあるファイルたちをまとめたので、私も一緒に手伝うと1枚の紙が机の下に落ちたのでしゃがんで拾ったら、水瀬編集長がしまったという感じで慌てたので私はその紙に視線を向ける。

 その紙には『身長別、コーディネート特集!ミニー、ミディ、トールサイズ女子の最新コーデはこれ!!』と書かれてあり、私と同じ170センチ以上のモデルのコーディネートが写真が幾つか掲載されている。

「このコーデ…」

 あるモデルのコーデには、自分が履くのを避けていたブーツに合うコーディネートだった。
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